・新入社員や新規雇用者
・企業の人事担当者や雇用契約管理者
・労働条件の変更や更新に関わる人
・労働法や労働契約に興味のある人
労働条件通知書とは、労働者を雇い入れて労働契約を締結する際に使用者(事業主など)から労働者に対して交付される書面の事です。
この労働条件通知書は給与や就業場所、勤務時間などの労働条件を明示するために用いられ、雇用形態に関わらず、すべての労働者に交付されることが労働基準法で定められています。したがって、労働条件通知書の作成義務は正社員だけに限らず、契約社員やパート、アルバイトなどにも適用されます。
この労働条件通知書は労働者が自身の労働条件を書面で確認することによって賃金や勤務時間等で労働者に不利な条件がないかを確認することができます。
また使用者(事業主など)が口頭で労働条件を伝えたとしても、それが労働者に認識されないケース等もあります。
労働条件通知書を作成することでそういった「言った、言わない」「聞いた、聞いてない」などの採用後のトラブルを防ぐ事にもつながります。
労働条件通知書の作成義務は、労働基準法第15条1項によって定められています。
労働条件通知書の作成を怠った場合には、30万円の罰金が科せられる場合があります。
また、労働条件井明示されなければならない事項が記載されていない場合にも30万円以下の罰金に処せられることがあります。
尚、明示されている労働条件と実際に働いた際の条件が違った場合には、労働者は労働契約を即時解約する事ができます。
労働条件通知書を交付するタイミングは大きく分けて4つあります。
特に注意しなければならないのが「労働条件の変更時」です。
アルバイトから正社員へ転換したなどに待遇に変更があった際には、その都度新しい労働条件通知書を作成し更新しておかなければなりません。
この「労働条件の変更時」の労働条件通知書作成を忘れてしまうケースが多いので注意が必要です。
労働条件通知書の保存する期間ですが、3年間の保存義務があります。
これは作成してから3年間ではなく、労働者との雇用契約がなくなった日から3年間になります。
退職後にすぐ処分したり、入社して3年経過したので処分してしまったという事がないよう注意しましょう。
労働条件通知書とは、労働契約の締結時や変更時に、雇用者が労働者に提示する書面である。
必要事項としては、賃金、就業時間、休日、休暇、退職条件、労働保険や社会保険の加入状況などが含まれる。
提出時期としては、新規雇用の場合は入社時、既存従業員に対しては変更があった場合に通知する必要がある。
労働者は労働条件通知書を受領し、内容に同意した場合は署名捺印して提出することが通常の流れとなる。
雇用者は労働条件通知書の内容を遵守する責任があり、違反した場合は法的な責任を問われる可能性がある。
労働条件通知書と似ている書類に「雇用契約書」というものがあります。
記載されている内容はほぼ変わりませんが、2つの大きな違いがあります。
1つは「署名・捺印」です。
労働条件通知書は使用者(事業主等)から雇用する労働者に対して一方的に交付されます。そのため書類の名称が「通知書」となっています。これに対して雇用契約書は使用者(事業主)と労働者の合意に基づいて作成し、合意の証として双方の署名・捺印をします。そのため書類の名称には「契約書」という言葉が使用されています。
2つめは「法的作成の義務の有無」です。
労働条件通知書は労働基準法により交付しなければならない書類で、記載内容等も定められたものは記載しなければならない書類です。それに対し雇用契約書は作成に際して法的な義務はありません。そのため労働条件通知書さえしっかりと作成し、交付しておけば法的には問題ありません。
雇用契約書については合意した上で署名・捺印するため労働条件や賃金等の「言った、言わない」という労働トラブルを回避する目的があります。
尚、雇用契約書は労働条件通知書を兼ねる事もできますので、労働条件通知書に記載しなければならない項目をしっかりと記載した雇用契約書を2部作成し、使用者(事業主等)と労働者の双方が1部ずつ保管するとしても問題はなく、労働条件通知書を別途交付する必要はありません。
労働条件通知書
雇用契約書
労働条件通知書を作成するに当たって、明示しなければならない項目が13個あります。
それは下記の通りです。
労働条件通知書に明示しなければならない項目には大きく分けると2種類あります。
それは「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」です。
絶対的明示事項とは「書面の交付による明示が必要な事項」です。
労働条件通知書の中に必ず明記して労働者へ交付しなければなりません。
この絶対的明示事項は下記の通りです。
相対的明示事項とは「口頭の明示でよいとされている事項」です。
労働条件通知書の中には書面にしなくてもいい項目で、口頭による明示でいいとされています。
この相対的明示事項は下記の通りです。
労働条件通知書について解説してきましたが、労働条件通知書とは労使トラブルを防ぐ重要な書類になりますので、必ず作成するようにしましょう。
相互的にしっかりと労働条件を把握するためにも「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として2部作成し、使用者と労働者で1部ずつ保管する方法が、非常にお勧めです。
中には労働条件通知書を渡しても紛失したり、もらっていないと主張する労働者もいます。
そういった場合でも労働者の署名・捺印がある「労働条件通知書 兼 雇用契約書」があれば労使トラブルを回避で切ると思います。
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