◆傷病休職や産前産後休業、育児休業中に年休を取得することはできるのか？

労働者が傷病休職中や産前産後休業中、育児休業中に年次有給休暇を取得することは一般的にはできません。

ただし、産前産後休業や育児休業において一部の取得が認められる場合があります。

産前産後休業期間中は、産前に請求した年休の取得が優先される場合があります。

また、育児休業期間中も、申出前に請求した年休を取得することが可能です。

ただし、休職期間中の年次有給休暇の取得はできません。

休職期間中には労働義務が免除されるため、労働日が存在しなくなります。

なお、具体的な取り扱いは労働基準法や労働契約に基づき決まるため、労働者と会社側はコミュニケーションを行い、労働条件や権利を明確にする必要があります。

この記事はこんな方におすすめ！

・傷病休職、産前産後休業、育児休業について知りたい人
・年次有給休暇の取得について理解したい人
・労働条件や権利について理解を深めたい人
・仕事と家庭を両立させるために各種休暇を上手に活用したい人

傷病休職中や休業期間中に年次有給休暇は取得できるのでしょうか？

労働者が傷病休職や産前産後休業、育児休業をとっている間は、厳密には労働義務がないため、年次有給休暇（以下、「年休」という）を請求することはできません。

ただし、産前産後休業や育児休業に関しては、一部の取得が認められています。

まず、産前産後休業については、出産前後の一定期間の休業を指します。

この期間は出産前6週間と出産後8週間の合計14週間となっています。

この期間中には労働義務がないため、年休を請求することはできません。

ただし、出産後6週間を経過した後の期間については、産前産後休業の申出前に年休を請求していれば、その取得が優先されます。

つまり、出産後の期間であっても、産前に請求した年休の使用が可能です。

また、育児休業についても同様の取扱いがあります。

育児休業は、子どもの出生後、就業している労働者が子どもを育てるために休業できる制度です。

育児休業期間中は労働義務が免除されているため、年休の請求はできません。

ただし、育児休業の申出前に年休を請求していれば、その取得が優先されます。

つまり、育児休業期間中でも、申出前に請求した年休を使うことが可能です。

以上のように、傷病休職や産前産後休業、育児休業期間中には、年休を請求することはできませんが、産前や産後の一定期間や育児休業期間の申出前に請求した年休は、その取得が優先されます。

労働者が傷病や育児に専念するために取得した休業期間について、適切な休息をとる機会として年休を活用することができる制度です。

休職期間中の年次有給休暇について

労働基準法に基づく年次有給休暇は、労働日において労働義務の免除を受けることが前提となっています。

しかし、休職命令が出された場合、労働日に欠勤することとなります。

そのため、休職期間中に年次有給休暇を取得することはできません。

労働基準法の第39条には年休の規定がありますが、その中で年休は「賃金の減収を伴うことなく、労働日において労働義務の免除を享受すること」と定められています。

これは、通常の労働日に労働を行う代わりに、年休を取得する権利があることを意味します。

一方で、休職は労働契約上の一時的な中断期間であり、労働義務が免除されるため、休職中は労働日が存在しなくなります。

労働日がないため、年休を取得することはできません。

休職期間中には、会社側による休職命令に基づき、労働契約が中断されます。

そのため、年次有給休暇を使用することはできず、休職期間中は給与も支給されません。

ただし、休職期間中に病気やけがなどにより、労働能力を喪失した場合には、別途の手続きにより傷病手当や労災給付金を受けることができる場合があります。

その際には、社会保険制度や労働者災害補償保険制度を活用することになります。

休職期間中に年次有給休暇を取得することはできないため、休職中の労働者は休職解除後や復職後に、年次有給休暇の取得を検討する必要があります。

労働基準法では、労働者が年次有給休暇を取得できる権利を保障しており、会社側もその権利を尊重しなければなりません。

休職期間中の年次有給休暇については、労働基準法と労働契約に基づいて、具体的な取り扱いが決められることが重要です。

労働者と会社側は、労働条件や権利を明確にするために、円滑なコミュニケーションを行うことが求められます。

産前産後休業期間の年次有給休暇

産前産後休業期間には年次有給休暇が取得できないことが労働基準法によって定められています。

産前の6週間と産後の8週間は、労働者の請求があれば休業が義務付けられています。

この期間中は労働者の労働義務が免除されるため、年次有給休暇を取得することはできません。

ただし、産前休業の請求が前もって行われていない場合は、年次有給休暇の請求が認められる場合があります。

要は、産前産後休業期間中に年次有給休暇を取得したい場合は、事前にその旨を申請しておく必要があるということです。

労働者は、自身のニーズに合わせて年次有給休暇を使うことができるため、産前産後休業期間を予め請求するかどうか、慎重に考える必要があります。

育児休業期間と年次有給休暇

育児休業を取得する際には、年次有給休暇を取得することができません。

育児休業と同様に、私傷病休職や産前産後休業でも労働義務が免除されるため、年次有給休暇は使えません。

ただし、産後休業終了後に育児休業を開始するのではなく、年次有給休暇を取得した後に育児休業を始めようとする場合は、年次有給休暇の請求が許可されます。

具体的には、育児休業を開始する前に年次有給休暇を請求していれば、その日は労働義務があるため、年次有給休暇を取得することができます。

例えば、産後休業の期間を経て、育児休業を始める前に3日間の有給休暇を取得する場合、育児休業の請求をする前に年次有給休暇の請求をすれば、労働義務を果たしつつ有給休暇を利用することができます。

ただし、注意点として、育児休業中に年次有給休暇を取得する場合は、あくまで労働義務を果たすために利用するものであり、育児休業とは別に休暇を取ることはできません。

また、年次有給休暇の請求は、育児休業の前に行わなければなりません。

育児休業を開始した後では、年次有給休暇を取得することはできませんので、注意が必要です。

育児休業は、子どもの成長にかかわる大切な期間ですが、その間には労働義務が免除されます。

年次有給休暇との関係では、育児休業を開始する前に年次有給休暇を取得することができますが、注意点を守って利用する必要があります。

各種休暇を上手に活用し、仕事と家庭を両立させる工夫が求められます。