◆「敬称略」とは?ビジネスシーンでの使用例や注意点を解説

◆「敬称略」とは?ビジネスシーンでの使用例や注意点を解説

「敬称略」とは、相手に対する敬意を示すために付けるべき「様」「さん」「先生」などの敬称を省略することを指します。この記事では、敬称略の定義やビジネスシーンでの使用例などについて紹介しています。敬称略を使う際に気をつけるべきポイントや注意点についても解説しています。また、社外の人に対しての敬称の扱い方や、役職者の名前を省略せずに書く場合の注意点などについても触れています。

 
この記事はこんな方におすすめ!

・ビジネスシーンで名簿を作成することがある人
・敬語や敬称について深く理解したい人
・敬称略の使い方について知りたい人
・役職者の敬称の使い方について知りたい人

敬称略とは何のことか?

「敬称略」とは、相手に対する敬意を示すために付けるべき「様」「さん」「先生」などの敬称を省略することを指します。
通常、名前の下に付ける敬称を省いて名前だけを使用することを指し、その際には「敬称を省略させていただきます」という意味も含まれます。
このようにすることで、大人数の人名を扱う場合や、冠婚葬祭の名簿や読み上げにおいて、煩雑さを避けることができます。

 

敬称略は、冠婚葬祭における名簿の作成や読み上げなどのシーンで使用されます。
例えば、葬儀に参列している人の名前を名簿に記載する際には、敬称を省いて名前だけを書くことが一般的です。
また、葬儀の司会者が参列者の名前を読み上げる際にも、敬称略が使われます。
これにより、一人一人に敬称が付いていたりすると煩雑な印象を与えないことができます。


ビジネスシーンでの使用例

ビジネスシーンでは、たとえば会議の出席者名簿を作成する場合など、複数の人の名前を一覧にすることがあります。

 

このような場合には、「敬称略」という表記を使い、名前の敬称を省略することが一般的です。
具体的な使用例としては、会議の出席者名簿や表彰の受賞者一覧、取引のあるパートナー企業一覧、イベントの協賛一覧などが挙げられます。
敬称略はこれらのリストの「件名」のすぐ下に記載し、リスト内での敬称を省略する形式となります。

 

「目上の人に対して敬称略を使うと失礼にあたるのでは…?」と心配になる人もいるかもしれませんが、心配は無用です。
敬称略という表記を使っている以上、「敬称を使いたいが省略してしまいます」という意思が込められており、目上の人に対しても失礼にはなりません。


敬称略の使用における注意点とポイント

敬称略を使う際には、いくつか気をつけたいポイントがあります。

 

人数が少ない場合は使用しない

リストに記載される人数が少ない場合には、敬称略を使う必要はありません。
敬称は相手への敬意を表すために使われるものであり、人数が少なければわかりやすくなりますし、手間もかからないために敬称を付けた方がいいです。

 

必ず「敬称略」と明記する

リスト内で敬称を省略する意図を明確にするために、必ず「敬称略」と明記してください。
これにより、読者は省略された敬称に対して違和感を感じることなく理解できます。

 

「順不同」もあわせて記載する

リスト内の順序が特に重要でない場合には、敬称略と同時に「順不同」という表記も追加しておくと良いでしょう。
これにより、読者は敬称の省略と順序の特定を同時に理解できます。

 

社外の人の敬称に注意

リスト内に社外の人が含まれる場合には、その人の敬称の省略にも注意が必要です。
社外の人に対しては通常の敬称を付けることが一般的ですが、敬称略の場合には特に配慮が必要です。

 

役職の省略は状況に応じて
役職名の省略については、状況に応じて判断してください。場合によっては役職名を省略せずに記載した方が適切な場合もあります。社内でのコミュニケーションの流れや関係性を考慮し、最適な方法を選びましょう。

 

上記のポイントを順番に解説します。

 

リストに記載される人数が少ない場合には、敬称略を使う必要はありません。敬称は相手への敬意を表すために使われるものであり、人数が少なければわかりやすくなりますし、手間もかかりません。具体的な基準としてはありませんが、通常、数人から5、6人程度のリストなら、1人ずつに敬称をつけることが好印象です。

 

逆に、敬称略を使う場合には、必ず「敬称略」と明記することが重要です。これにより、読者は省略された敬称に対して違和感を感じることなく理解できます。

 

また、リスト内の順序が特に重要でない場合には、「順不同」という表記も追加しておくと良いでしょう。これにより、読者は敬称の省略と順序の特定を同時に理解できます。

 

さらに、リスト内に社外の人が含まれる場合には、その人の敬称の省略にも注意が必要です。社外の人に対しては通常の敬称を付けることが一般的ですが、敬称略の場合には特に配慮が必要です。

 

最後に、役職名の省略については、状況に応じて判断してください。場合によっては役職名を省略せずに記載した方が適切な場合もあります。社内でのコミュニケーションの流れや関係性を考慮し、最適な方法を選びましょう。

 

敬称の扱い方について注意すべき点

敬称を付ける場合に気をつけるべき点は、「様」の使い方です。
私たちは敬語を使って丁寧に相手に接することを意識しますが、あまりにも丁寧になり過ぎて「社長様」「部長様」というような二重敬語になってしまうことがあります。しかし、これは失礼な言い方とされているため、絶対に避けなければなりません。
相手に対して敬称を使わない場合は、「敬称略」と明記することが必要です。敬称略の記載を忘れることがあるため、常に確認しましょう。

 

また、順番も重要です。上位の役職者やお客様を末尾に記載すると失礼になりますので、注意が必要です。どの人を上に書くべきか不明な場合は、「敬称略、順不同」と記載することがポイントです。

 

また、社外の人に対しては特に注意が必要です。社内の人とのやり取りは身内同士のようなものですが、社外の人はお客様と言えるでしょう。そのため、基本的には敬称を使う方向性を持ち、敬称略は大人数の場合に限定しましょう。
多くの場合、敬称略と順不同はセットで用いられることが多いですので、覚えておくべきです。

 

役職者の名前を省略せずに書く場合の注意点

実際には、社長や部長などの役職者の名前を名前のみで表記しようとすると、抵抗を感じる方もいるかもしれません。これは、役職者に対する敬意を示すために敬称を使う習慣があるからです。しかし、一方で、名前のみで表記することは慣れていない人にとっては失礼にあたるように感じるかもしれません。

 

そこで、役職は残して記載し、一般社員のみ敬称略にすることもできます。これにより、役職者に対する敬意を表す一方で、名前のみで表記することに抵抗を感じる人々の気持ちにも配慮できます。

 

ただし、この対応はケースバイケースであるため、職場のこれまでの書類を確認して、慣習に従うようにしましょう。職場によっては、役職者の名前を名前のみで表記することが一般的である場合もあるため、注意が必要です。


敬称略の書き方の実践方法

敬称略を実践するためには、文面ではそのまま「敬称略」と書くことができます。また、冠婚葬祭などで名前を読み上げる場合も、「敬称略」と述べることで問題ありませんが、『お時間の都合上、敬称を省略させていただきます』などという言い方をすることをお勧めします。
さらに、二重敬語の例文も紹介しますので、確認しておきましょう。

 

例文1
社外の人が含まれる場合の敬称略表記
出席者一覧(敬称略、順不同)
氏名:山田 太郎、会社名:××株式会社、役職:人事部長
氏名:佐藤 花子、会社名:株式会社○○、役職:人事グループ長
氏名:高橋 次郎、会社名:株式会社△△、役職:マネージャー

 

上記の一覧表スタイルの例文では、敬称である「様」を省略していますが、役職については記載しています。名前については、一覧表スタイルでは通常フルネームで書くことが多いです。ただし、議事録などでは名字のみで書くケースもあります。名字のみでの記載は問題ありませんので、書類の形式に応じて適切な方法を選ぶようにしましょう。

 

例文2
社内文書の場合の敬称略表記
出席者一覧
堀江社長、田中部長、佐藤、鈴木、内田、高橋(敬称略)

 

社内文書で敬称略をする場合には、役職の記載も全て省略することができます。しかし、役職者を呼び捨てで書くのに抵抗があるという方も多いかもしれません。
そのような場合は、役職者に対しては「堀江社長」「田中部長」といった記載方法に統一し、一般社員については敬称略を用いると良いでしょう。

 

二重敬語のNG例と代替表現
役職と「様」を組み合わせて使うのは、二重敬語になり、相手に不適切な印象を与える可能性があります。そのため、代わりに「人名+様」の形で使うことで、二重敬語を回避し、正しい表現になります。例えば、「代表取締役社長 山田 太郎様」「部長 佐藤 花子様」といった具体的な人名を使います。


まとめ

敬称略は、敬称の一部である「様」「さん」などを省略することを指します。
ただし、これは単なる省略ではなく、「本来であれば敬称をつけるべきですが、省略させていただくことをお許しください」というニュアンスも含まれます。
社会人として、敬称略の基本的な使い方を理解したら、様々な状況に応じて使い方を考えましょう。
なお、敬称略を使う場合は必ず「敬称略」と明記することを忘れずにしてください。