◆在宅勤務における労働時間管理の課題と事業場外みなし労働時間制の適用

在宅勤務を行う従業員の労働時間を正確に算定することは難しい場合には、事業場外みなし労働時間制を適用することができます。

 

具体的な要件を満たす必要がありますが、適用により労働時間の簡易な算定が可能となります。

 

事業場外みなし労働時間制は、主に個別の労働時間を確認する手段のない場合や状態での労働に対して、一定の原則に基づいて労働時間を算定する制度です。

 

具体的な要件は、次の通りです。

 

まず、在宅勤務の従業員が管理監督下にあることが必要です。

 

つまり、作業を行う上で一定の指示や管理を行っていることが求められます。

 

次に、労働者が勤務を開始したことを明示するために、開始時、終了時、休憩時などの記録を作成する必要があります。

 

これにより、労働時間を一定の根拠に基づいて算定することが可能となります。

 

また、労働者が実際に作業を行っていることを認識するために、一定の報告書や業務報告書を作成することも必要です。

 

これにより、労働時間が事実に基づいていることを確認できます。

 

事業場外みなし労働時間制を適用することにより、従業員の在宅勤務の労働時間を簡易に算定することができます。

 

ただし、労働時間の正確な把握が求められる場合には、別の方法を検討する必要があります。

 

それには、労働者に作業報酬を支払う場合には、報酬規定に基づいた算定が必要ですし、勤怠管理を徹底することも重要です。

在宅勤務時の労働時間管理は重要ですが、どうしても困難な場合には事業場外みなし労働時間制の適用が認められます。

 

以下の３つの要件を満たす場合に、事業場外みなし労働時間制が適用されます。

 

まず、自宅での業務が行われる必要があります。

 

自宅以外の場所でのテレワークでは適用されません。

 

また、使用者の指示により常時通信可能な状態におかれないことが求められます。

 

さらに、具体的な指示に基づいて作業が行われていないことも要件の一つです。

 

場所的な要件としては、自宅での業務が必要です。

 

自宅以外では、例えばカフェやホテルでの在宅勤務は適用されません。

 

また、常時通信可能な状態に置かれることも適用の際の要件です。

 

これは、従業員が任意で通信を切断することができず、常に使用者からの指示に即応しなければならない状態を指します。

 

このような状態では、事業場外みなし労働時間制の適用は認められません。

 

ただし、携帯電話の貸与の有無だけで判断するわけではありません。

 

以上の要件を満たす場合には、事業場外みなし労働時間制の適用が検討されます。

 

しかし、労働時間の把握は重要なポイントですので、できる限り労働時間の把握・管理をすることが望まれます。

 

従業員が安心して在宅勤務ができる環境を作るためにも、労働時間の適正な把握・管理が求められます。

 

事業場外みなし労働時間制の適用は最終的な手段として考え、積極的に労働時間の把握方法を模索することが重要です。