・商品やサービスを提供する企業の経営者やビジネスマン
・コモディティ化に関心を持つ人
・競争が激化する市場で働く人
・投資家や金融機関など、商品価格の変動に影響される人
「コモディティ」とは、ビジネス用語で使われる言葉で、商品や日用品などを示す言葉です。
この言葉は、フランス語の「commodité」に由来しており、「適合性」という意味があります。
コモディティとは、生産者によらず、商品の価値を同一またはほぼ同じと見なすことを指します。
つまり、どんな企業が生産したのかに関係なく、同じような商品同士は価格や品質などが似ているため、競争が激しくなります。
コモディティの代表的な商品には、農産物、貴金属、エネルギー資源などがあります。
例えば、穀物や野菜などの農産物は、一般的には品質や特徴が似ており、市場での価格はほぼ同じです。
同様に、金や銀などの貴金属も、純度や重さが決まっているため、価値が同じです。
また、石油や天然ガスなどのエネルギー資源も、市場での価格がほぼ同じであり、同等品同士での差別化が難しいです。
コモディティの特徴は、価格や品質が似ているため、競争が激しくなるということです。
生産者の数が多ければ多いほど、価格競争が起こりやすくなります。
また、需要と供給のバランスが崩れると、価格変動が激しくなることもあります。
コモディティは、日用品や必需品として私たちの生活に欠かせない存在です。
また、経済全体にも影響を与える重要な商品群です。
価格の変動などがあるため、投資家や金融機関などが市場動向を注視し、リスク管理を行っています。
コモディティには、「コモディティ化」「コモディティ商品」「コモディティ投資」という関連語があります。
コモディティ化は、元々一部の商品が独自性を持って差別化されていたが、後に他の商品と大差がなくなり、一般的な商品になることを指します。
一方、コモディティ商品は一般的に流通し、広く認知される商品のことです。
ごく普通の商品であり、例えばスーパーで買えるような商品が該当します。
コモディティ投資は、商品先物市場に投資することを意味します。
原油や金、トウモロコシなどの商品を取引対象とし、この投資はインフレに強いとされています。
投資信託やETFを利用することで、少額から始めることができます。
特に金は安全資産として人気が高く、幅広いコモディティに関連する投資信託も存在します。
コモディティ化は、商品やサービスの類似性が高まり、価格競争が激化することでさまざまな問題が発生する可能性があります。
まず、コモディティ化によって価格競争が引き起こされることがあります。
市場全体がコモディティ化すると、同様の商品やサービスが多数存在し、差異化が難しくなります。
その結果、消費者の商品選択の基準が価格に偏ることが考えられます。
提供者側は価格での競争を避けられず、より安い価格で商品を提供する必要性が生じます。
これにより、低価格競争が激化し、企業同士が利益を削り合う状況が発生する可能性があります。
また、価格競争の激化は利益の減少につながることもあります。
価格を下げるという手段で市場シェアの獲得を目指す企業が増えると、商品・サービスの生産に必要な原価にも影響を及ぼす可能性があります。
原材料や労働力のコスト削減が求められ、それに伴い製品の品質や付加価値が低下することも考えられます。
さらに、価格競争が激化し、企業が利益を上げられない状態を「コモディティ・ヘル」と言います。
この状況では、企業の業績や成長が停滞し、投資や研究開発などの重要な活動への資金を確保することが難しくなります。
これらの問題を抱えた企業は、差別化戦略や付加価値の提供、顧客のニーズに合わせたサービスの提供などにより、コモディティ化からの脱却を試みる必要があります。
価格だけでなく、品質やブランドイメージなど、他の面での差別化が求められるかもしれません。
また、市場がコモディティ化しても、顧客にとって価値を提供できる特徴や利点を見つけ出し、競争力を高めることも重要です。
コモディティ化の原因は主に2つあります。
①競合の商品・サービスの模倣(技術水準の高度化) 競合他社の商品・サービスが成功している場合、他の企業もその成功を見て真似をしようとすることがあります。
これによって、市場には似たような製品が溢れ出すことになります。
産業の技術が標準化され、製品の性能が似たようなものになると、顧客は商品の差別化が難しくなります。
結果として、価格競争が起こり、製品がコモディティ化してしまうのです。
②供給過多 需要が供給を上回る状態である「供給過多」という状況がコモディティ化の原因となります。
市場に多くの供給者が存在し、それ以上の需要が存在しない場合、価格競争が激化し、商品・サービスの値下げ合戦が始まります。
それによって、商品・サービスの差別化が難しくなり、市場全体が同じような製品で溢れかえることになります。
どちらの原因も、市場全体において商品・サービスの差別化が難しくなることが共通しています。
競合他社の模倣や供給過多が起こると、顧客は商品の選択の基準として価格を重視する傾向が強まります。
その結果、価格が下がり、商品・サービスが同じようなものになってしまうのです。
コモディティ化は、競争が激化し市場が飽和状態になった場合に起こりやすい現象です。
企業は個々の商品・サービスに特徴を持たせることや、顧客のニーズを把握し、提供する価値を高めることが重要です。
差別化戦略やブランド力の向上に注力することで、コモディティ化のリスクを軽減することができます。
コモディティ化とは、競合他社との差別化が難しいほど製品やサービスの特徴や性能が類似している状態を指します。
ここでは、コモディティ化の有名な事例を2つ紹介します。
まず、生活家電業界は比較的コモディティ化が起こりやすいと言われています。
例えば、冷蔵庫はどのメーカーを選んでも「中の食品を冷やす」という機能は共通しています。
デザインや操作性、容量、消費電力などには選択基準がありますが、基本的な性能に大差はありません。
そのため、消費者は価格の安い製品を選ぶ傾向にあります。
この競争が価格競争につながり、商品がコモディティ化していると言えます。
次に、薄型テレビもコモディティ化が進んでいます。
特に液晶テレビは、2009年頃には40型の相場が約15万円でしたが、2012年頃には約7万円まで値下がりしました。
現在ではさらに値下がりが進んでおり、高品質な製品でもリーズナブルな価格で購入できます。
液晶の技術も標準化されてきており、品質に大きな違いがわかりづらいため、価格が消費者の購買の決め手となっていると言われています。
これらの事例からわかるように、コモディティ化は製品やサービス業界に広く存在しています。
競合他社との差別化が難しいため、価格競争が激化し、消費者の選び方も価格重視になる傾向があります。