◆労働基準法に基づく年次有給休暇の権利と取得条件

◆労働基準法に基づく年次有給休暇の権利と取得条件

年次有給休暇の付与要件は、労働基準法に基づき、雇用期間が6ヶ月以上で全労働日の8割以上出勤している場合に受けることができます。

休業日の一部も出勤日として算入され、育児休業中は出勤率が8割を満たしていなくても権利を保持できますが、利用はできません。

ただし、特定の休業や労災による休業期間を除けば8割以上出勤している場合に与えられます。

年次有給休暇は労働者の権利であり、正当な理由なく与えられない場合は申し立てることも可能です。

出勤率の算定は、出勤日を全労働日で割る方法で行われるが、一部の日は除外されます。

注意して算定しましょう。

 
この記事はこんな方におすすめ!

・労働基準法に基づく年次有給休暇の権利と取得条件を知りたい人
・育児休業について知りたい人
・出勤率の算定方法について知りたい人
・年次有給休暇の付与要件について知りたい人
・人事担当者や雇用主として労務管理について学びたい人

年次有給休暇の付与要件

年次有給休暇は、労働基準法第39条1項に基づき、使用者から提供される権利です。

 

この法によれば、労働者は雇い入れから6ヶ月以上勤務し、その期間中に全労働日の8割以上出勤している場合に、年次有給休暇を受けることができます。

 

年次有給休暇の算定では、一部の休業日も出勤した日として扱うルールがあります。

 

労働基準法第39条10項によれば、業務上の負傷や疾病による療養休業、産前産後休業、育児・介護休業による休業日は、出勤したものとして算入されます。

 

特に育児休業期間中は、通常の出勤率を維持するために労働を免除されています。

 

そのため、育児休業を取得している間は出勤したものとみなされるため、出勤率が8割を満たしていなくても年次有給休暇の権利を保持することができます。

 

ただし、育児休業中は年次有給休暇を利用することはできませんので、育児期間後の職場復帰後に利用することとなります。

 

育児休業以外の休業についても、労働基準法の規定に基づき出勤率が維持されます。

 

短期間の休業や労災による休業期間を除けば、通常は労働者が8割以上出勤している場合に年次有給休暇が与えられます。

 

年次有給休暇は労働者の権利であり、労働基準法によって保護されています。

 

正当な理由なく年次有給休暇が与えられない場合は、労働者は労働基準監督署に申し立てることも可能です。

 

しかし、法に従い出勤率を満たせば、年次有給休暇は使用者から受けることができるため、労働者は自身の権利を適切に行使するようにしましょう。

出勤率の算定方法

出勤率の算定方法は、出勤日を全労働日で割ることによって求めることができます。

 

出勤日とは、年次有給休暇の付与日前の1年間(初回は雇入れ日から6ヶ月間)で実際に労働した日と、休業の日のうち出勤したものを指します。

 

全労働日とは、会社で設定されている所定労働日のことを指します。

 

ただし、年次有給休暇を取得した日や遅刻早退をした日も出勤日としてカウントされます。

 

ただし、出勤率の算定にあたっては、以下の4つの日を除外する必要がありますので、計算の際に注意が必要です。

 

1. 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日 雇用者自身の責任により休業した日は出勤日には含められません。

 

2. 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日 法的に正当な理由により労務が行われなかった日は出勤日には含められません。

 

3. 休日労働させた日 会社の規則により休日労働を行った日は、出勤日には含められません。

 

4. 法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日であって労働させた日 一部の法定外の休日や就業規則で定められた特別な休日で、労働を行った場合は、出勤日には含められません。

 

以上の点に留意して、出勤率を正確に算定しましょう。

 

出勤率は、労働状況の把握や給与計算、労務管理などに役立つ指標となります。

育児休業から復帰した社員に年次有給休暇を付与する必要?

育児休業から復帰した社員にも原則年次有給休暇を付与する必要があります。

 

育児休業は子育てのために行われる一時的な離職期間であり、復帰後も正社員として勤務することが前提となります。

 

そのため、労働法上の権利として、年次有給休暇は離職期間を問わず全ての労働者に与えられるべきものです。

 

育児休業期間中は雇用保険から休業給付金が支給されますが、これは一時的な代替給付であり、有給休暇ではありません。

 

復帰後に年次有給休暇を取得することで、育児休業期間中の給与の不足を補填することができます。

 

さらに、育児休業から復帰した社員に年次有給休暇を付与することは、その社員のワークライフバランスを考慮する意味でも重要です。

 

育児を経験した社員は家庭と仕事の両立に様々な困難を乗り越え、貴重な経験を積んでいます。

 

そのような社員が再び働きやすい環境を提供することは、会社の人材の定着率を高めるとともに、生産性向上にもつながるでしょう。

 

ただし、年次有給休暇の取得は社員の都合によるものであり、それによって企業の運営に支障が出る場合は、適切な制約を設けることも必要です。

 

例えば、忙しい時期や一時的な人手不足などを考慮して、休暇の取得を調整することが求められます。

 

総じて、育児休業から復帰した社員に年次有給休暇を付与することは、法的な要件だけでなく、人材の定着や労働環境の改善、生産性向上といった企業にとってのメリットもある重要な措置です。

 

企業は、育児休業制度を活用した社員支援策の一環として、復帰後も働きやすい環境を整えることを考慮すべきです。