・ 日本語を学習している外国人
・ ビジネスシーンでの敬語表現に興味がある人
・「拝受」という謙譲語の使い方について学びたい人
「拝受(はいじゅ)」とは、謙譲語の一つであり、「受領する」という意味を持ちます。この表現に使われている「拝」には、「拝んだりおじぎをしたりする」という意味が込められています。そのため、「拝受」という表現は、目上の人に対する謙遜の気持ちを示す漢字です。つまり、「拝受」は「受領」の謙譲語ということです。
そして、「受領」とは、品物やお金を受け取ることを指します。「受領」は、「受け取ること」を意味する「受」と、「大切なもの」を意味する「領」という漢字で構成されています。したがって、「拝受」とは、目上の人から丁重に大切なものを受け取ることを意味します。
謙譲語とは?
謙譲語は、日本語の敬語の一つであり、主に自分自身や自分の所属する組織・団体を、相手よりも下位の立場に置き、相手に対して敬意を表すために用いる言葉のことです。
謙譲語を使うことで、相手に対して謙遜の気持ちや尊敬の念を表現することができます。また、ビジネスシーンでは、上司や取引先など、目上の人に対して謙虚な態度を示すことが求められるため、謙譲語の使用は非常に重要です。
日本語には、謙譲語のほかにも尊敬語や丁寧語など、様々な敬語が存在します。それぞれの敬語の使い方を正しく理解し、適切に使用することが、正しいコミュニケーションをとる上で欠かせないスキルです。
通常、「拝受」は、「拝受いたしました」という一連のフレーズとして使用されます。
この表現には、次のような敬語表現が含まれています。
「拝受」は謙譲語I、「いたす」は「する」の謙譲語II(丁重語)を表します。
つまり、「拝受いたしました」は、謙譲語Iと謙譲語II(丁重語)の両方の敬語表現が組み合わさったものです。
この表現の意味としては、「つつしんで受け取りました」という敬意をもった表現となります。なお、「拝受しました」という短い表現も存在し、こちらも間違いではありません。ただし、先述の通り、「拝受いたしました」の方がより敬意を示すことができる表現です。
目上の人や取引先に対しては、「拝受いたしました」という表現を使用することで、より一層丁寧な印象を与えることができるでしょう。
「貴信拝受」とは、「拝受」という言葉と一緒に使用される「貴信」という単語の意味を紹介します。「貴信」とは「あなたからの便り」という意味です。
例文としては「7月7日付貴信、拝受いたしました」というように使われます。「貴信による〜〜の件……」というようにも使用されます。
この表現はあまり頻繁には出てきませんが、相手からの手紙やメッセージを尊敬する意思を示す言葉として覚えておくと良いでしょう。
「拝受・拝受いたしました」という表現は、主にビジネスシーンでよく使われます。具体的な場面としては、上司から重要な書類やメール、荷物などを受け取った時です。
例えば、大切なクライアントから送られてきた書類に対して相手から「あの書類、届いたでしょうか?」とメールで問い合わせがあった場合、「拝受しました」と返信します。
もちろん、相手から聞かれなくても使用することができます。
重要な書類が届いたことを相手に伝える際は、「確かに拝受いたしました」と伝えることもあります。
相手に先んじて自分から連絡することは好印象です。連絡手段としては、書かれた文書やビジネスメール、チャットツールなどで使用することが多いです。
この時、「拝受しました」という表現に加えて、「ありがとうございました」という感謝の一言を添えるとさらに良いです。
「拝受・拝受いたしました」を使用する際の注意点を説明します。
社内で使用する際は、上司などの立場が上の人に対して使います。先述の通り、自分自身がへりくだる表現であるため、部下や後輩など、自分よりも地位が下の人には使用しませんので、覚えておきましょう。
ビジネスシーンでは、相手に対して敬意をもって接することが求められます。そのため、社外の人に対しては、「拝受」を使うことができますが、「ご拝受ください」はNGです。ただし、注意が必要なのは、「拝受」は自分が受け取る側のときに使う表現であり、「相手が受け取る側」のときに使用すると失礼になります。
例えば、取引先に対して「新商品の資料を、どうぞご拝受ください」という表現は適切ではありません。「どうぞお受け取りください」と言うべきです。
また、資料を送付したお客様から「資料ありがとうございました。拝受いたしました」とメールで返信があった場合、返信の必要性についても考える必要があります。一般的に、「拝受いたしました」という連絡に対する返信は必須ではありません。顧客の立場の方からのメールの場合は、返信がある方が良いでしょう。
逆に、日頃から親しくやり取りしている取引先などでは、さらなる返信は必要ないこともあります。つまり、返信の必要性はケースバイケースで判断する必要があります。もし返信をする場合は、簡潔な文面がおすすめです。
例えば、「ご連絡ありがとうございます。資料に関してご不明点等ございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。」や、「ご丁寧にありがとうございます。当日お会いできるのを楽しみにしております。」などが適切です。
ビジネスメールにおいて、相手から送られてきた重要な書類や資料を受け取ったことを確認し、感謝の気持ちや今後の手続きに関する補足を伝える場合には、以下のような文言を使うと良いです。
例文1:送付された発注書を受け取るシーンで 「いただいた発注書、本日拝受いたしました。こちらで進めさせていただきますので、ご安心ください。」
例文2:ご査収くださいの返事として
A「新商品の資料をお送りいたします。よろしくご査収ください。」
B「早速にありがとうございます。資料の方、拝受いたしました。社内でじっくりと検討させていただき、改めてご連絡差し上げる予定です。」
以上のように、「拝受いたしました」という表現を使用することで、受け取り確認と感謝の気持ちを伝えることができます。
なお、「拝受いたしました」に類似する表現としては、以下のようなものがあります。
特に、「頂戴しました」は話し言葉の場合に聞き取りやすく、一般的によく使われますので、状況に応じて適切な表現を選ぶと良いでしょう。
「拝受」は「はいじゅ」と読み、「受領」という意味で使われます。目上の人から大切なものをかしこまって受け取るというニュアンスがあります。自分が相手に物を渡す場合には、「差し上げます」などの敬語を使うことが一般的ですが、相手が物を受け取る場合には「拝受いたしました」と使います。
ビジネスシーンでは、敬語の使い方に間違いが生じることがあります。「ご健勝」や「承服」、「拙宅」など、日常生活ではあまり使われない敬語が使われることがあります。この機会に、自分が使用している敬語が正しいかどうかを見直してみましょう。正確な敬語の使用は、ビジネス上のコミュニケーションにおいて非常に重要です。