◆育児休業中に退職する場合の育児休業給付金の取り扱いについて

◆育児休業中に退職する場合の育児休業給付金の取り扱いについて

この記事は、育児休業中に退職した場合の育児休業給付金の取扱いについて説明しています。

原則として、退職日を含む支給単位期間には給付金が支給されず、退職日の前月までの期間にのみ給付金が支給されます。

ただし、退職理由が給与減少や労働条件の変更などの場合、一定の条件を満たせば退職日の属する期間にも給付金が支給されることもあります。

育児休業給付金は育児に集中できるよう労働者を経済的に支援する制度であり、将来のことを考慮した検討が重要です。

退職を考えている場合は、労働組合や労働基準監督署などに相談することをおすすめします。

 
この記事はこんな方におすすめ!

・求人募集を行う企業の採用担当者
・労働条件に関心のある労働者
・育児休業給付金関心のある人

育児休業中に退職した場合、育児休業給付金の取扱いはどうなるのでしょうか?

育児休業中に離職する場合、育児休業給付金の取扱いについて説明します。

 

原則として、退職日を含む支給単位期間においては育児休業給付金は支給されず、退職日の属する支給単位期間の一つ前の支給対象期間までしか支給されません。

 

例えば、6カ月の育児休業を取得し、その期間中に退職した場合を考えてみましょう。

 

退職日が育児休業期間の最終月の20日だとします。

 

この場合、支給単位期間は法律上の規定により、1カ月単位となります。

 

従って、支給単位期間は退職日の前月までの5カ月になります。

 

退職日の属する支給単位期間は育児休業給付金の対象外となるため、この期間には給付金は支給されません。

 

しかし、退職日の前月までの5カ月については育児休業給付金が支給されます。

 

ただし、条件によっては例外もあります。

 

例えば、退職理由が労働条件の変更や給与の減少によるものである場合、一定の条件を満たせば退職日の属する支給単位期間にも育児休業給付金が支給されることがあります。

 

育児休業給付金は、労働者に対して経済的な支援を行うための制度です。

 

しかし、それは安定的な雇用と労働条件の確保を前提にしています。

 

そのため、育児休業中の退職は、給付金の支給に影響を与える可能性があることを理解しておく必要があります。

 

育児休業を取得する際には、将来のことも考えて十分な検討を行うことが重要です。

 

退職を考えている場合は、育児休業給付金の取扱いや労働条件の変更について、事前に労働組合や労働基準監督署などに相談することをおすすめします。


育児休業給付金

子育てのために育児休業を取得する労働者を支援するため、雇用保険から支給される給付金です。

 

この給付金は、特定の条件を満たす労働者に支給されます。

 

支給要件として、まず雇用保険に加入していることが必要です。

 

また、育児休業を開始する前の2年間に月に11日以上働くなどの条件を満たしている必要があります。

 

さらに、育児休業期間中に賃金が支払われていないことや、育児休業終了後に職場復帰する予定であることが求められます。

 

支給額は、育児休業開始からの期間で異なります。

 

育児休業開始から180日目までは、休業開始時の賃金日額に支給日数と67%をかけた金額が支給されます。

 

そして、180日目以降は休業開始時の賃金日額に支給日数と50%をかけた金額が支給されます。

 

つまり、育児休業が半年未満の間は休業前の給与の67%が支給されます。

 

半年を超える期間からは休業前の給与の半分が支給されることになります。

 

育児休業給付金は、育児のために働けない期間に生活費を補填し、労働者が安心して子育てに集中できるようにする制度です。

 

労働者にとっては経済的な負担を軽減する手段となります。

 

育児をする労働者にとって、この給付金が活用できるかどうかは重要なポイントです。


育児休業中の退職

(1)退職日により異なる支給単位期間 育児休業給付金は、育児休業開始日から1カ月ごとに区切られた期間(支給単位期間)ごとに給付されます。

 

しかし、育児休業中に退職する場合は、退職日が属する支給単位期間の一つ前の期間分で給付が終了になります。

 

ただし、退職日が支給単位期間の末日の場合は、退職日までの期間分の給付が行われます。

 

また、育児休業を開始する当初は復職を考えていたものの、実際に育児を始めると想像以上に負担が大きかったり、子育てとの両立が難しいと感じることもあります。

 

このような場合でも、既に受け取った給付金に対して返金を求められることはありません。

 

例えば、育児休業開始日が3月10日の場合、月の10日から翌月9日までが支給単位期間になります。

 

もし6月8日に退職した場合、4月10日から5月9日までの期間分までが給付されます。

 

もし6月9日に退職した場合は、5月10日から6月9日までの期間分が給付されます。

 

(2)不正受給に注意 先ほどの説明にもあるように、育児休業給付金は休業終了後に職場に復帰することが予定されている労働者に支給される給付金です。

 

ですから、休業開始前に退職が確定している労働者は給付金を受け取ることができません。

 

もしも、育児休業の開始時点で退職が確定しているにも関わらず、そのことを隠し、育児休業給付金を受給しようとすると、雇用保険法第61条の5第1項により不正受給の処分を受ける可能性があります。

 

また、事業主が虚偽の申請書等を提出した場合にも、返還や納付命令処分を受けることがあります。

 

したがって、育児休業申請時には、受給者本人の状況確認をしっかりと行うことが大切です。