◆1ヵ月単位の変形労働時間制についての注意点とメリット

◆1ヵ月単位の変形労働時間制についての注意点とメリット

本記事では、「1ヵ月単位の変形労働時間制」を導入した場合に、時間外労働の発生をどのように考えればよいのかについて説明します。

変形労働時間制では、週や月、年間の所定労働時間を設定することがあり、それを超えた勤務があった場合には時間外労働として加算されます。

具体的な確認方法としては、週の所定労働時間を超えた勤務や月の所定労働時間を超えた勤務、そして年間の所定労働時間を超えた勤務を基準に判定します。

変形労働時間制の導入にあたっては、シフト管理と労働基準法の規定に則った労働者保護措置が重要です。

また、1ヵ月単位の変形労働時間制の特徴としては、柔軟な労働時間管理が可能な点や、割増賃金の支払いが不要となる場合がある点が挙げられます。

ただし、労働基準法の条件を満たすことが必要です。

時間外労働の計算方法についても、日単位、週単位、対象期間単位での確認が行われますので、正確な管理が求められます。

 
この記事はこんな方におすすめ!

・労働時間に関する法律や制度に詳しくない人
・1ヵ月単位の変形労働時間制を導入する企業の人事担当者や管理職
・1ヵ月単位の変形労働時間制に興味がある社員や労働者

1ヵ月単位の変形労働時間制を導入した場合、時間外労働の発生はどのように考えればよいのでしょうか?

確認方法1

 

週の所定労働時間を超えて勤務があった場合 従業員が週の所定労働時間を超えて勤務した場合には時間外労働が発生します。

 

変形労働時間制では、週の所定労働時間を設定しているため、週の所定労働時間を超えた勤務時間が発生した場合にはその時間数を時間外労働として加算します。

 

たとえば、週の所定労働時間が40時間である場合、週に45時間勤務した場合には5時間が時間外労働として加算されます。

 

確認方法2

 

月の所定労働時間を超えて勤務があった場合 変形労働時間制では、週の所定労働時間ではなく、月の所定労働時間も設定することがあります。

 

月の所定労働時間を超えて勤務があった場合には、その時間数を時間外労働として加算します。

 

たとえば、月の所定労働時間が160時間である場合、月に170時間勤務した場合には10時間が時間外労働として加算されます。

 

確認方法3

 

年間の所定労働時間を超えて勤務があった場合 一部の変形労働時間制では、年間の所定労働時間も設定することがあります。

 

年間の所定労働時間を超えて勤務があった場合には、その時間数を時間外労働として加算します。

 

たとえば、年間の所定労働時間が1920時間である場合、1年間で1950時間勤務した場合には30時間が時間外労働として加算されます。

 

変形労働時間制を導入した場合には、上記の3つの確認方法により時間外労働の発生を判定することができます。

 

特に週や月の所定労働時間を超えた勤務に注意し、時間外労働が発生しないような適切なシフト管理を行うことが重要です。

 

また、時間外労働が発生した場合には、労働時間と労働条件に関する労働基準法の規定に則って、残業手当などの労働者保護措置を適切に行う必要があります。

1ヶ月単位の変形労働時間制の特徴

1ヶ月単位の変形労働時間制は、従業員の所定労働時間を週単位ではなく、1ヶ月単位で計算する労働制度です。

 

この制度を導入することにより、1日の所定労働時間が8時間を超えることや、1週間の所定労働時間が40時間を超える場合でも、割増賃金の支払いを行う必要がなくなります。

 

具体的には、労働者の働く週ごとの所定労働時間が異なる場合でも、1ヶ月単位で見た場合に平均週所定労働時間が40時間を超えていなければ、割増賃金の支払いが不要となります。

 

例えば、1週目の所定労働時間が36時間、2週目が48時間、3週目が32時間、4週目が44時間というような場合でも、4週間の平均週所定労働時間は40時間未満であるため、割増賃金の支払いは不要となります。

 

さらに、1ヶ月単位の変形労働時間制では、個別の日ごとに所定労働時間が異なる場合でも有効です。

 

例えば、1日目の所定労働時間が9時間、2日目が7時間といったように変動する場合でも、1ヶ月における平均週所定労働時間が40時間未満であれば、割増賃金の支払いが不要です。

 

このような特徴を持つ1ヶ月単位の変形労働時間制は、企業にとっては柔軟な労働時間管理が可能となります。

 

また、労働者にとっても週単位で働くことにくわえ、長時間労働になる場合でも割増賃金が不要となるため、働きやすさが向上します。

 

ただし、1ヶ月単位の変形労働時間制を導入する際は、労働基準法に定められる条件を満たす必要があります。

 

具体的な条件や制度に関する詳細は、労働基準監督署や労働組合などに相談し、適切な導入を行うことが重要です。

1ヵ月単位の変形労働時間制における時間外労働の計算

1ヵ月単位の変形労働時間制において、時間外労働が発生する場合には、3つの確認方法によって時間の計算を行います。

 

まず、1日単位での確認では、8時間を超える所定労働時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間が時間外労働としてカウントされます。

 

次に、1週間単位での確認では、40時間を超える所定労働時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(ただし、1日単位での時間外労働となる時間は除外)が時間外労働としてカウントされます。

 

最後に、対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(ただし、1日単位または1週間単位での時間外労働となる時間は除外)が時間外労働としてカウントされます。

 

たとえば、4週目の金曜日の所定労働時間が10時間で、1時間残業した場合は、1日単位の確認に該当し、その1時間が時間外労働としてカウントされます。

 

また、3週目の金曜日に2時間の休日出勤をした場合は、1日・1週間単位の確認では超えていませんが、対象期間の総枠を超えるため、時間外労働としてカウントされます。

 

変形労働時間制では、時間外労働のカウント方法が複雑ですので、日常的なシフト管理や勤怠管理を徹底することが重要です。

 

時間外労働のカウント漏れによる割増賃金の支払い漏れを防ぐため、注意深く管理する必要があります。